全体を通じて、素晴らしい構成力と楽曲の魅力が際立っている作品だと思います。
とりわけ、B面の出来映えは、ロック史において、永遠に語られるであろう名演ではないでしょうか。
あたかも、今にも消えようとする蝋燭の炎が、最後の輝きを放つかのように。
名盤アビーロードは、長期にわたり、ヒットチャートの1位に君臨していました。
そんな不朽の名作アビーロードをチャート1位から蹴落としたアルバムが登場します。
それは、新人バンドとも言っていい新進気鋭のキング・クリムゾン、そのデビューアルバムでした。
1969年に発表された『In The Court Of The Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)』は、まさに新時代を予感させるもので、重厚なサウンドが織りなすトータル・アルバム。
ロックの中に、ジャズやクラシックのエキスを込め、さらにメンバーに詩人を加えるなど、限りない叙情性にも満ちた驚愕の名盤として、世界から驚きをもって迎えられました。
また、メロトロンを活用することにより、独特の世界観を表現。
まさに、実験性と前衛性に満ちた名盤だといっていいと思います。
さらに、アルバム冒頭を飾る『21st Century Schizoid Man including Mirrors』は、ボーカルにファズ(歪み系エフェクト)をかけていると思われ、私自身、最初に聴いたときには、ぶっ飛びました。
このナンバーは、後年のハードロック、ヘビーメタルの原型と言っても過言ではないと思います。
デビューアルバム時におけるキング・クリムゾンのメンバーは・・・
ロバート・フリップ ギター
グレッグ・レイク ベース&ボーカル
イアン・マクドナルド キーボード、フォーン、メロトロン他
マイケル・ジャイルズ ドラムス
ピート・シンフィールド 詩人
ビートルズの黄金時代があり、そこから新たな息吹が・・・。
アビーロードを経て、イギリスのロックは、新しい時代へと移ってゆくのでした。