この世に、天才というものがいるならば、シド・バレットは、間違いなく、その一人だと言っていいでしょう。
ただ、多くの天才がそうであるように、その結末は、悲劇めいたものがあります。
世界のロック史に君臨する、あのピンク・フロイドのオリジナル・メンバーにして中心人物こそシド・バレット。
今回は、このシド・バレットのことを思い出してみたいと思います。
シド・バレット(1946年1月6日 - 2006年7月7日)
奇抜なステージ、その演出は、ライブシーンで話題になっていきますが、シド・バレットを中心とするピンク・フロイドが、レコードデビューを果たしたのは1967年のこと。
当然、まだビートルズが現役の時代でした。
ピンク・フロイドと言いますと、一般的にはプログレッシブ・ロックと分類されるわけですが、デビューアルバムとなった『The Piper at the Gates of Dawn(邦題:夜明けの口笛吹き』は、まさにサイケデリック・ロック!でした。
ここには、あまりにも不思議なシド・ワールドが展開され・・・。
その詩、その旋律、リズムに至るまで、サイケデリック色が濃く、その存在感は、他の追随を許しません。
これはみな、シド・バレットの才能があったればこそでしょう。
シド・バレットは、精神を病み、2作目のアルバム制作途中において、既に音楽に携われる状態ではなくなっていました。
よって、シド・バレットが全編にわたって参加しているピンク・フロイドのアルバムは、このデビューアルバム一枚のみということになります。
貴重な財産ですね。
また、私が注目しているのは、シド・バレットが演奏するギターの刻み方です。
これは、常人では、とても思いつかない。
シド・バレットは、後年ロックシーンに登場する多くのアーティスト達に影響を与えており、かのデヴィッド・ボウイも自ら認めているほどです。
おそらく、ビートルズ、特にジョン・レノンあたりも、シド・バレットを相当意識していたと、私は考えています。
ピンク・フロイドが、莫大なレコードセールスを記録し、ロック界の巨人となるのは、シド・バレット脱退後の話になります。
ただ、このデビューアルバムがあったからこそ、シド・バレットがいたからこそ、ピンク・フロイドのコアが出来、傑作も多く輩出されたのだと思います。
シド・バレットのことについては、ソロ時代のことなども含め、いずれまた取り上げてみたいと、私なりに願っているところです。