フール・オン・ザ・ヒル(The Fool On The Hill)。
マジカル・ミステリー・ツアーに収録されたこの一品は、どことなく牧歌調であり哲学的でもあり。
何かを連想させられる魅力を秘めたナンバーだと思います。
思いっきり直訳すれば、「丘の上の愚か者」という感じでしょうが、言い換えれば「孤高の人」とも受け取れますね。
ポールが歌うこの作品は、あのガリレオ・ガリレイのことだという説もあります。
地動説を唱え、異端視され、厳罰に処されたガリレオ・ガリレイ。
正しいことを言っても、誰からも受け入れられず、狂人扱いされた人生。
「それでも地球はまわっている」と言ったと伝えられていますが、ポールの詩にも延々と、「Round and round and round」という言葉が出てくることから、ガリレオ・ガリレイを歌ったというのは、事実かと推察します。
ただ、あくまで私自身の考えですが、丘の上の愚か者には、ポールは自身の姿も投影したのではないでしょうか。
ビートルズの行く末を思うが如く。
また、このナンバーは、ポールの作品にあって、とってもジョン・テイストが効いているように、私には思えるのです。
もしかしたら、丘の上に孤りで立っているのはジョンだったのかもしれない・・・。
と、私は、想像の中に遊んでいます。
さて、サウンド面では、シンプルでいて斬新と申しますか、リコーダーとフルートが使用されており、これがまたいい味を醸し出しています。
あの時代、あのとき。
ポールの眼には、どんな世界が映っていたのか?
フール・オン・ザ・ヒルを聴いていると、ふとそんな事共が浮かんでは消えてゆくのです。