多くの名盤、アルバムを生み出したビートルズですが、微妙な位置づけにある作品が存在します。
そのタイトルは、「Yesterday and Today」。
本来、ビートルズのオリジナルアルバムではなく、アメリカのキャピトルレコードが、ヘルプ、ラバー・ソウル、リボルバーの3枚のアルバムから曲を抽出し、そこに、恋を抱きしめようと、デイ・トリッパーのシングル曲を入れ込んだ、いわゆる企画物の作品です。
実は、このアルバム・・・そのジャケットが物議をかもし、回収騒動に発展することになります。
初回制作盤のジャケットは、ビートルズの4人が白衣を着て、バラバラになった赤ん坊の人形を抱いているものであり、そこには肉片の姿もありました。
どこまでがアートか?という問題にもなるとは思いますが、実際、ジョージとリンゴは、ひどく乗り気ではなく、とりわけジョージは毛嫌いしていたと言われています。
しかし、それでも、イエスタデイ・アンド・トゥデイは、発売となったものの、キャピトルレコード内部や販売店から、苦情が殺到し、大至急!という形で回収処分にかけられています。
それでも、市場に出回ってしまったものを、すべて回収することは困難で、一部は未回収のまま、世に出てしまいました。
この未回収に終わったグロテスクなアルバム・ジャケットは、「ブッチャー・カバー」と呼ばれるようになり、非常に希少価値の高いものとして、ビートルズマニアの間では、相当な高値で取引がされているようです。
そもそも、「ブッチャー」とは、肉屋とか、肉を切り刻むという意味があり、いかに初版のアルバムジャケットが、衝撃的だったかを表している呼び名だと思います。
実は、今でも、そのブッチャーカバーの画像は、ネット上に多く残っているのですが、この場でご紹介すれば、間違いなく、不快な思いを抱かれる方々もいらっしゃると思い、あえてご紹介しないことといたしました。
芸術と狂気。
そのすみ分けは、実に難しい部分がありますが、ひょんなところで、ビートルズ・グッズの超プレミア品になってしまったことは事実です。