ポール・マッカートニーが、1976年、ウィングス時代に発表した「Silly Love Songs(邦題:心のラブソング)」は、文字通りのビッグヒットとなりました。
直訳すれば、「愚かなラブソング」。
このシチュエーション、言葉の中に、私はポールのロック魂を垣間見る気がいたします。
当時ポールは、辛辣な評論家達から、「しょせんポールはラブソング(バラード)しかつくれない」という趣旨の批判を受けていました。
このナンバーは、その批判にラブソングで応えたものだと言えるし、しっかりヒットしてしまうところが、また愉快。
「ラブソングのどこが悪いんだ!」と歌いつつ、サビの部分では・・・
I love You,I love You,
と連呼するポール。
いや~、ロックですね。
ビートルズが世界的に有名になり、音楽界に、新たな息吹が数々芽生え、その後幾多の変遷を経て、新たなスタイルが確立されてゆきます。
時代の流れに取り残されていくアーティストも多数いました。
ポール・マッカートニーにも、多くの苦悩があったはず。
それでも、今を生き、世界中の人々から愛される歌と演奏を届けられることは、言葉には出来ないほどの偉業だと思います。
他愛ないもの、愚かなものでもいいじゃ~ないか。
心が揺さぶられるならば。
そう思えてくるナンバーだし、ポールの中に潜む、反骨精神がうかがい知れるようで、実に興味深いですね。