ホワイトアルバムで画期的だったことの一つは、ジョージ・ハリスンが、自らの楽曲でのギター・プレイを親友であるエリック・クラプトンに任せたことではないでしょうか。
ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープスで、エリック・クラプトンが奏でたサウンドは、以降『泣きのギター』の代名詞として、名演としてロック史に刻まれていきます。
思えば、エリック・クラプトン以前に、チョーキングをしながらビブラートをかけるという奏法をするギタリストはいなかった・・・と、言っていいと思います。
今ならば、アマチュアのギタリストでさえ、当たり前のように使うテクニックが、当時は、驚きをもって迎えられた。
1966年のこと。
カナダに一人の男の子が誕生します。
名前は、ジェフ・ヒーリー(Jeff Healey)。
ジェフ・ヒーリーは、生後1歳のときに、ガンにより失明・・・。
にもかかわらず、3歳のときには、ギターを弾き始めます。
眼が見えないわけですから、ギターの持ち方からして、あくまで自分流にあみだしたものです。
才能、そして勿論、すごい努力があったからでしょう。
ジェフ・ヒーリーは、ギタリストとして世界的に知られるようになり、数々の名演を残します。
それでも、ガンは、ジェフ・ヒーリーに試練を与え続け、闘病生活の末、2008年に41歳という若さで、亡くなっています。
実は、このジェフ・ヒーリーが、前述したホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープスをカバーしています。
おそらく、音源だけを聴いたら、眼の見えない人が弾いている!なんて、想像だに出来ないことでしょう。
ジェフ・ヒーリーは、ジョージ・ハリスンのオリジナル曲、そしてエリック・クラプトンのソロ・プレイをリスペクトしているように、泣きのギターを奏でます。
名曲に、新たな命が、もう一つ吹き込まれた。
そう思わずにいられません。
ジェフ・ヒーリーのギター・プレイを見ていると、人間、やれば出来るんだ!という思いさえ抱きます。
名曲、名プレイヤー、名演・・・。
すべてが揃ったテイクは、感動を呼びますね。
RIP Jeff Healey