ホワイトアルバムの収録曲である「マザー・ネイチャーズ・サン:Mother Nature's Son」は、実にポールらしい曲想だと思います。
牧歌的な風景が、自然に浮かんでくるような世界観。
サウンド面でも、歌詞の内容的にも、ポールのオリジナリティーがあふれる作品ではないでしょうか。
静かな曲ではありますが、何と申しますか、人々の潜在意識を刺激する不思議なパワーをも持っている作品だと感じます。
優しさと寂しさと・・・。
穏やかな陽光さす光景であるようでいて、雲の影も感じるような・・・。
ホワイトアルバムの特徴のひとつでもありますが、このナンバーは、ホーンセクション(管楽器)以外は、すべてポール一人で演奏しています。
ギターはもちろん、ティンパニを含むリズム部も。
ゆえに、他のメンバー3人は、このマザー・ネイチャーズ・サンの録音に携わっていない。
こういった郷愁あふれるナンバーをスタジオに一人籠もり、創り上げていたときのポールの気持ちは、一体どんなだったことでしょう。
ところで、このナンバーにおけるアコースティックギターの響きが、とても印象的ですが、その鳴りを静かに確認すれば、あの「ブラックバード」の演奏と同じギターが使用されていることが分かります。
時代的にいっても、マーチンD-28かと思われます。
ポールとアコースティックギターといえば、日本製、老舗ブランドのK・ヤイリを思い出す方々も多いことでしょう。
そのへんのお話は、ぜひまた後日。