ジョージ・オーウェルという作家をご存知の方々もいらっしゃることでしょう。
その代表作に『動物農場』というものがあります。
(原題はAnimal Farm)
農場を経営する主人に反感を募らせる動物達が日夜思案を巡らし、主人を追放するという革命を企てます。
人間の追放に成功した動物達。
そこには平穏で平等な社会が待っていたはずが、新たに支配者が現れます。
権力の象徴として描かれているのが豚。
やがて豚は、権力に陶酔し、自堕落な生活を送ることで、他の動物達から怖れられつつも新たな不満の種となって行きます。
権力を持ったとき変貌するもの。
権力を持たせてはいけないもの。
さて、1977年にピンク・フロイドが発表したアルバムが『アニマルズ』(Animals)。
この作品をピンク・フロイドの最高傑作だ!という人は、おそらく少数だと思いますが、それは由としても、私はこのアルバムを高く評価しています。
バンドとしての熟成もなされ、風刺精神に富んでいる名作だろうと。
ピンク・フロイドが世に問うたアニマルズとジョージ・オーウェルの動物農場。
その関連性を否定する説もありますが、何らかのヒント、あるいはインスピレーションを得ていたことは確かだろうと私は考えています。
ピンク・フロイドが、このアルバムに登場させる動物はドッグ(Dogs)、ピックス(Pigs)、シープ(Sheep)。
それぞれに階級あるいは位置づけを与えています。
その上で、最高位に位置する支配者として用意されたのが翼を持った豚(Pigs On The Wing)。
ピンク・フロイドのライブ・ステージで、会場を飛んで来る巨大な豚をご存知の方々もいらっしゃるかと思いますが、ここから来ているものですね。
天空から支配する翼を持った豚。
いわゆる恐怖政治の象徴として、彼等は描いたように思います。
繰り返しになりますが、このアルバムは優れている。
絶対的な存在ではないにしろ、その示唆するものは奥深く、演奏も充実。
聴いて損のない1枚かと思います。