ジョージ・ハリスンという人は、時に珠玉のバラードを生み出す才に恵まれていたと思うことがあります。
メロディーラインの美しさもありますが、独特のコード進行が彩りを添えてくる。
そんなジョージのバラード群にあって、とりわけ輝いているナンバーが、「Isn't It A Pity」だと、私は思っています。
切々と歌い上げるジョージのこのナンバーは、やはりコード進行に極めて特徴があるのも事実です。
数あるジョージの作品の中にあっても、とびっきりビューティフルな一作と言ってもいいのではないでしょうか。
このIsn't It A Pityですが、パティ・ボイドに別れを告げた作品だとも言われています。
話をエリック・クラプトンのことに向けてみます。
エリック・クラプトンは、ビートルズのメンバーとそれぞれ交流があり、現在に至るまでバッキンとして共演した回数も数えきれません。
しかし、私が知る限り、自身のライブ・ステージにおいて、ビートルズ達のナンバーを演奏したことはなかったと思うのです。
そんなエリック・クラプトンが、ジョージが亡くなった後年のこと、何の前触れもなく自身のステージでジョージのナンバーを演奏してみせました。
それこそが、Isn't It A Pity。
ジョージがパティを思って歌ったナンバーをエリックが奏でる。
2人の友情とは、どれほどのものだったのか。
常人には、計り知れないほど深いものだったのでしょう。
そうでなければ、Isn't It A Pityをセレクトするはずもありません。
それぞれのナンバーには、秘められた思いがある。
その物語を知りつつ、エリック・クラプトンのステージを見ていると、感慨もひとしおです。
後世まで語り継がれてよい名演だったと思います。
この演奏を生で聴けた私もそうだし、ファンの皆さんも幸せでしたね。