音楽とは、メロディー、ビート、あるいはアンサンブルなどが織りなす世界だと思いますが、時に詩の世界だけで聴く人を魅惑してしまう場合があります。
おそらくは、詞の中に既に命があり、胸にしみいる脈々としたリズムが宿っているのでしょう。
ジョン・レノンが描いた世界。
その詩の中でも、特に秀逸なものの一つが、アクロス・ザ・ユニバース(Across The Universe)ではないでしょうか。
まず、冒頭から美し過ぎる詞の御霊が流れ出てきます。
Words are flowing out like
Endless rain into a paper cup
もう、これだけで、私などは満足です。
アクロス・ザ・ユニバースは、その曲名が表すように、大宇宙を想起させるものですが、私はジョンが世に送り出した作品の多くに、その宇宙観、世界観を垣間見る思いがいたします。
宇宙といっても、それは天文学的なものではなく、果てしなくジョンの内面に近いもの・・・。
そんな風に思えるのです。
ジョンの心の中に広がる宇宙感が、詞となって現れ、そこにメロディーとビートが付いたときにビートルズとなる。
そういった事共を象徴するような一曲が、このアクロス・ザ・ユニバースのように思えて仕方ありません。
アクロス・ザ・ユニバースといえば、いろいろなアーティストがカバーもしています。
今回は、異色なところで、デヴィッド・ボウイが歌ったこの曲を振り返ってみたいと思います。
微妙に音程を揺らす歌い方が、実にデヴィッド・ボウイらしいですね。
アクロス・ザ・ユニバースは、見つければ見つけるほど、探せば、探すほどに、未知なる世界、宇宙を教えてくれるように思えます。