ビートルズの活動が晩年へと差しかかってきた60年代後半には、非常に前衛的なバンドが多数輩出されてきました。
ひとつの大きな特徴として、楽曲的に大作を奏でるバンドが増えてきたのは事実ではないでしょうか。
さて今回は、60年代後半、ドイツ系の音楽シーンについて、書いてみたいと思います。
ドイツには、シンセサイザー、いわゆる電子楽器を駆使したバンドが多々登場してきますが、ここではその象徴として、タンジェリン・ドリームのことについて取り上げてみます。
まだ、ビートルズが現役だった頃、このような音楽を手がけるのは、非常に希有なことだと感じます。
シンセサイザーを重用した・・・という点でいえば、イギリスではエマーソン・レイク&パーマーが有名ですが、ドイツ系のそれは、バンドという表現よりも「実験」と称したほうがよさそうです。
1967年のこと、エドガー・フローゼによって立ち上がったタンジェリン・ドリーム。
1969年には、鬼才クラウス・シュルツをメンバーに迎えています。
彼等の音楽は、後年のシンセサイザー・ミュージックに多大なる影響を与えてゆくことに。
私自身は、クラウス・シュルツがソロ名義で発表した『ミラージュ』に、強いインスピレーションを感じていますが、タンジェリン・ドリーム時代のサウンドは、やはり異次元の存在感を放っていたと思います。
おそらく、彼等の存在がなかったならば、あのYMOも世に出ていなかったのではないか?
私は、そう思っています。
60年代後半から70年代にかけての時代。
まさに、ロック界に新風が吹き、革新的なバンドが、多数世に出た時だと思うのです。
時代、時代で、それを象徴するバンド、グループが出てきますが、シンセサイザーをメインに据えるという実験的試みを開花させたという点においても、タンジェリン・ドリームは、日本でも、もっと評価されてよい存在だと思う次第です。