今回は、ピンク・フロイドのことを書いてみたいと思います。
多くの傑作を生み出したピンク・フロイドですが、ここでは1970年に発表されたアルバム、『Atom Heart Mother』(邦題:原子心母)を取り上げてみたいと。
とにかく、1970年という時期にあって、こういったアルバムを制作すること自体、極めて画期的なことだったと、私は思っています。
まず、A面については、アルバムのタイトル曲がひとつ入っているだけ。
まさに、超大作といった感があります。
A面とは、まったく異なるコンセプトでまとめてきたB面には、メンバーそれぞれの作品が詰まっており、こちらは、どちらかといえば、ピンク・フロイドの作品群にあっては、小品と言えるかもしれません。
ただ、私としては、勿論A面は大好きなものの、あまり話題にならないB面も、かなり好きであります。
それぞれのメンバーの個性が表れているし、ニュートラルな立ち位置で聴けば、名曲と呼べるものばかり。
そのB面の中でも、特に私のお気に入りなのは、デヴィッド・ギルモアの作品である『Fat Old Sun』。
後年になってもギルモアは、このナンバーをライブで演奏しており、きっとお気に入りのひとつなのだろうと推察します。
また、このアルバムに、よりインパクトを加えているのは、あまりにも大胆なレコードジャケットですね。
これは、かの有名なヒプノシスによるもの。
さらに、プロデュースは、あのアラン・パーソンズが手がけています。
アラン・パーソンズといえば、ビートルズのホワイト・アルバムなどでも仕事をした人物です。
このアルバムですが、私は別の意味でも忘れ難い思い出があります。
高校2年生のとき、お小遣いを貯めては、毎月一枚レコードを買うことが楽しみだった自分。
ある日は、思い切って2枚のLPを購入しました。
それが、この原子心母とキング・クリムゾンの太陽と戦慄。
高校生にしては、重たいアルバムを聴きまくっていたわけです。
歓びいさんで、レコードに針を落とす自分。
翌、早朝のこと、躯に異変を感じます。
苦しさがマックスに至り、早朝から病院へ行き、そのまま入院・・・。
そんな思い出もあります。
入院してからも、体調は悪化するばかりで、食をとることも難しくなり、牛乳を飲めるようになったのは、かなりの月日が経ってからでした。
それでも、私はこのアルバムにネガティブなイメージを抱いていません。
名盤は名盤。
そう思うのです。