ジョン・レノンの作品には、摩訶不思議な言葉が出てくることが多いですね。
空想の世界に遊んでいたり、造語を駆使したりと・・・。
また比喩も多く使用されつつ、絶妙な韻を踏むなど、聴いていて飽きることがありません。
その詩の世界だけでも、実に興味深く、いつになったらジョンの真意を理解できるのか?という課題にも直面します。
そんなジョンが描いた数ある作品の中でも、特に「Happiness is a Warm Gun(ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン)」は、難解中の難解にして、にも関わらず、底知れぬ魅力を感じる1曲です。
まず、ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガンの詩は、捉えようによっては性的なものにも受け取れるし、ドラッグを連想することも出来る。
それでいて、ジョンは、絶妙に本質をベールに包んでいる。
さらに、リズムがぽんぽんと変わる展開は、ビートルズ時代におけるジョンの真骨頂とも言えそうです。
もともと、このハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガンは、3つの異なるナンバーを組み合わせてつくった組曲だとも言われ、短い時間のあいだに、まったく表情を変えたセクションが登場してきます。
おそらく、このナンバーを一発で合わせることは不可能ではないか?と思われるほどに、演奏部分もかなり困難度の高いものになっています。
ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガンは、ご存知「ホワイトアルバム」に収録されたナンバーですが、このアルバムは、メンバーが揃うことはほとんどなく、それぞれが別個に録音作業をしたことで知られています。
ただ、ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガンの貴重な部分は、そんな時期にあって4人が揃って録音作業に没頭したことです。
何と、オッケーテイクが出来上がるまで、2晩かけて70テイクを重ねた末に出来上がったものだとも言われています。
そんな努力もあったからでしょうか?
ポールは、「ホワイトアルバムの中で、このナンバーが一番好き!」と発言しているそうです。
1曲の中に登場する繊細さと大胆さ、さらに荒々しさ・・・。
ビートルズのジョンの傑作のひとつといっても過言ではないと、私は思っています。