1960年代の後半、ロックシーンに登場したクリームは、世界に衝撃を与えたと言っていいと思います。
当時では、想像だに出来なかった演奏スタイル、トリオ(スリーピース)による卓越したテクニック、圧巻のステージワークなど。
まさに、ロック史に革命を起こしたといっても過言ではないでしょう。
クリームといえば、特にその醍醐味は、ライブパフォーマンスにあったと思いますが、スタジオ盤も聴くほどに味わいがありますね。
基本的にエネルギッシュ且つヘビーなサウンドであるわけですが、そんなクリームのナンバーの中で異色を放つ1曲があります。
それが『Badge』(バッジ)。
クリームの世界にしては、とてもポップな仕上がりになっていると思います。
ご存知の方々もいらっしゃると思うのですが、このバッジは、エリック・クラプトンとジョージ・ハリスンによる共作であり、ジョージもレコーディングに参加しております。
あのスーパー・トリオ、クリームにジョージが関わったということは、まさに歴史的な出来事だと、私は思っています。
クリームのナンバーにあって異色・・・と、書きましたが、それでも浮いているわけではない。
実に、心地よいスパイスとして、アルバムにフィットしていると感じます。
バッジといえば、私も長い間、カバーをしていますが、やはり印象的なのは、曲間に出て来るアルペジオのシーンですね。
美しさとお洒落さが同居している部分かと思います。
ただ、このナンバーを演奏面でみると、秀逸なのは、控えめに聞こえるバック・ギターのカッティング風なリズムパートだと、私は思っています。
実に、良い味わいです。
エリック・クラプトン自身、ライブステージで、クリームのナンバーを演奏することには、長く抵抗があったようですが、このバッジだけは、ずっとプレイし続けていました。
ジョージとの思い出のナンバーということもあると思います。
まるで、燃え尽きるかのような演奏バトルを展開したクリームは、短命で終わることが宿命だったのかもしれません。
そのスーパー・トリオのオリジナルアルバムにジョージが参加した。
これは、返す返すも、記念碑的な名曲だと思うのです。