ホワイト・アルバムにおいて、ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープスの収録にあたり、ジョージ・ハリスンが、エリック・クラプトンを招いたという話は、これまでにも触れてきましたが、その際に、エリック・クラプトンが使用したギターには、物語が潜んでいます。
一般的に『ルーシー』と呼ばれているレスポール。
エリック・クラプトンに弾いてもらうために、ジョージ・ハリスンが用意しておいたもので、このルーシーによって、あの泣きのギターが演奏されることになります。
この一本のギターが、運命に導かれるように、エリック・クラプトンとジョージ・ハリスンの間を行き来することになるのです。
元々、このレスポールは、エリック・クラプトンが入手したもので、友情の証といった意味もあったのでしょう、ジョージ・ハリスンにプレゼントされたものです。
ボディが赤く塗装されていたことから、ジョージ・ハリスンが、ルーシーという愛称を付けたもの。
(※ルーシーとは、赤毛のコメディアン)
ホワイト・アルバム制作中に、ジョージ・ハリスンは、再びエリック・クラプトンにルーシーを弾いてもらうことにしたというものです。
さらに、このルーシーは、2人にとっての節目にも登場してきます。
まずは、映画『レット・イット・ビー』中で、ジョージ・ハリスンが使用しているのが、このルーシー。
さらに、心身共にボロボロになり、周囲の友人達の助けにより、エリック・クラプトンがどん底から再起を図ったことで有名な『レインボー・コンサート』の際には、再び、エリック・クラプトンが、このギターを使用しています。
このルーシーですが、ギター・マニアの間では、伝説の一機ともいえるもので、実はギブソン社が、2013年に、世界限定100本でレプリカ・モデルを制作しています。
この復元作業で、大きな成果があったことは、従来『謎』とされてきた、このレスポールが、何年型モデルであるか!?をギブソン社が英知を結集して、結論づけたこと。
答えから書くと、57年型ゴールドトップのレスポールだったそうです。
復刻モデルでは、2人の間を行き来したルーシーの細かい傷までも再現。
エリック・クラプトン本人に弾いてもらったところ、大満足だったとか。
実は私、エリック・クラプトンが、1曲だけルーシーに持ち替えて、演奏したシーンを生で見ることができました。
いや--!今、思い出しても、本当に貴重な経験をすることができました。
アーティストに物語りがあるように、ギターにも、その一本、一本に小説より奇なる背景があるのですね。